第19章【微細構造定数αの本質】

 リング状電子が半径r(ボーア半径)の円周上を回転するときの速度(rω)は、約2187km/s(ボーア速度)である。ならばそこで、円環状拡張場が半径の円周上を回転するときの速度はといえば、これは第15章で述べたように、右図回転拡張場の円周上の任意な一点におけるポイントbの速度は、いかなる場合も一定不変の光速度なのである。

 すると、リング状電子と円環状拡張場それぞれの回転速度の比は2187:300000=1:137となり、たとえばリング状電子が一回転する間に円環状拡張場は137回転することになる。

 この場合に、円環状拡張場の円周上におけるポイントbが137回転したとき、ポイントbは、その一回目の回転を始めたときのもとの位置に戻ることになる。そして、円環状拡張場の表面に、137個連なった螺旋状の軌跡を描いたことになり、円環状拡張場そのものはその回転数に比例するエネルギーをもった、定常な波動状態になっているものと考えることができる。 

 ※{厳密には138回転目でもとの位置に戻る。}

リング状電子と円環状拡張場

 ちなみに、n=2におけるリング状電子の回転速度(rω)は、ド・ブロイ波長λ=h/mvの式から1093,8km/sと算出され、円環状拡張場のCなる回転速度との比は1093:300000=1: 274 であるから、リング状電が一回転する間に円環状拡張場は274回転することになり、ポイントbが円環状拡張場に描いた螺旋の数も、137×2の274個ということになる。同様にn=3の場合は、回転速度の比が1: 411、円環状拡張場の回転数は411回、ポイントbが描いた螺旋の数も137×3の411個となる。

 そうすると、この場合の137なる数値は、円環状拡張場がCなる速度で回転したときの回転回数に等しく、この137なる数値そのものを一つの単位として、これがその系の中に幾つあるのかによって、その数に等しい主量子数nが決定されるといえる。そして、ポイントbが137回転してもとに戻ったということは、137という素数としてのその数値そのものが、割ることのできない基本単位として円環状拡張場の中に隠然として存在し、機能しているということができる。

※{たとえば、137α-1とすると137×2=2α-1であるから、この場合はn=2となる}

 ところでコンプトン波長λcとは、その粒子の質量mを長さに換算したときの物理量として、プランク定数と光速度Cを用いてλc/mCと表される。

 この場合に電子のコンプトン波長λeは、上式により約2.426pmと導出されるのであるが、これにα-1の137を乗ずる(又はα0,007297で割る)とド・ブロイ波長λ(=/mev)の332,4pmが得られ、さらにこれを2πで除したものがボーア半径52,9pmとなる。

    2.426pm(λe)×137(α-1)/6,283(2π)=52,9pm(ボーア半径)

 すると、電子のコンプトン波長λe

    332,4pm(λ)/137(α-1)=2.426pm(λe)

と表すことができ、これは同時に/meに等しいのであるから、

    2.426pm(λe)=332,4pm(λ)/137(α-1)

             =/me

が成り立つことになる。

 そこでこれらを、本論におけるリング状電子と円環状拡張場の具体的描像に置き換えると、まず電子のコンプトン波長λe(2,426pm)と微細構造定数αの逆数(137)の積〔332,4pm〕であるが、この値は、水素原子における基底状態のリング状電子と円環状拡張場それぞれの円周の長さに等しく、かつ〔/mev〕{v=ボーア速度}なるド・ブロイ波長λにも等しいのであるから、

  332,4pm(λ)=2,426pm(λe)×137(α-1)  

            =52,9pm(ボーア半径)×6,283(2π) 

             =/me

が成り立つ。

 ということは、一般に知られるところのド・ブロイ波長(λ)332,4pmは、本論においてはリング状電子の円周(2π)の長さのことに他ならず、その半径がすなわちボーア半径52,9pmに他ならないということになり、さらにその332,4pmなる値は、本論における円環状拡張場の円周(2π)の長さに等しく、その半径もまたボーア半径52,9pmに等しいということができる。

 一方、ボーアの原子模型によると、一個の電子はとびとびの軌道半径でしか存在することができず、これはド・ブロイ波によるところの、円軌道上に展開される定在波を為しているものと考えられている。

 しかし本論においては、第15章で述べたように「電子の波動性とは、粒子としての電子そのものが持つのではなく、あくまでも電子本体の周囲に展開する回転拡張場が持つ・・・」のであるから、この場合に、一本の進行しない円形の波が振幅運動することで表現されるド・ブロイ波の円形定在波に関しては、確かに有用ではあるものの、実際の物理現象としてはあり得ない机上の論理であるといわねばならない。 

 したがって、実際の水素原子により近い描像を持つであろう図としては、前18章の〖ド・ブロイ波及び新たな水素原子模型図〗における図3が該当するものと考えられ、図1におけるド・ブロイ定在波については、図2・図3のリング状電子とはなんら関わりを持つものではないといえる。

🔷《1/137という値は、電磁相互作用の強さを表すときの単位のない無次元量の値として、微細構造定数α表記され、あるいはまた、これがスピン軌道相互作用によるエネルギー準位の差を規定するときの定数でもあるとされる。

 ところがここで、スピン角運動量とは、もともとは粒子としての電子が自転するときの、その回転の勢いを表わすものであって、いずれにしても、ボーア半径というより大きな範囲に展開されるリング状の電子が、そのような物理量を持ちうるはずがなく、本論においては、そもそもスピン軌道相互作用という物理現象そのものがありえないということになる。

 この場合に、スピン軌道相互作用に代わりうる何らかの別の相互作用があるとするならば、それは、Cなる回転速度の円環状拡張場と、ボーア速度(2187km/s)で回転するリング状電子の二者による相互作用などが考えられる。しかし、これよりもさらに深く関わるであろう相互作用としては、次章後半部🔷に述べられる、陽子と電子(円環状拡張場)の相互作用が挙げられる。

✧円環状拡張場

 本論における水素原子の電子と陽子の間には、何もないただの空間があるわけではなく、そこには光速度で回転する円環状拡張場が存在する。この場合に、基底状態のリング状電子と陽子の距離は、円環状拡張場の半径と同一のボーア半径(約52,9pm)であり、その円環状に展開する回転拡張場は、中心に位置する陽子とリング状電子の間に入って、その距離を一定に保つ働きを為しているものと考えられる。

  また、直線軌道を運動する電子の回転拡張場の半径は、その速度vに反比例するのであるから、これは直進する電子の速度がより遅いほどより大きく、より速いほどより小さくなる。この場合に静止状態にある電子の拡張場にはいかなる回転もなければ、その厚さも最低の薄さになっているはずである。しかし、その大きさ(半径)に関しては無限大に広がっていることになる。 

  そして、この電子がわずかにでも速度を持つとき、その拡張場は速度vの大きさに準じた角速度で回転を始めることになり、ちなみに速度vがボーア速度の約2187/sに至ったとき、その回転する拡張場の中心から約52,9pm隔たった位置の回転速度が、すなわち光速度Cの値を現すものと考えられるのである。

 そうすると、この直線軌道を運動する電子が、陽子の持つ収縮場の作用によって円軌道運動を行うときの姿が、円環状に展開する回転拡張場を纏ったリング状電子に他ならず、この場合に中心に位置する陽子がもつ収縮場の求心力と、ボーア速度で回転するリング状電子がもつ遠心力とが拮抗するときのその距離が、すなわちボーア半径52,9pmであるものと考えられ、その52,9pmの距離を一定に保つ働きを為しているのが、光速度Cなる回転速度をもつ円環状拡張場そのものであるということになる。

 すなわち本論においては、一個の粒子としての電子が、[kq²/²]なるクーロン力によって円運動をしているのではなく、半径52,9pmのリング状電子が、円環状拡張場を伴って回転運動しているのであるから、そこにはいわゆる見かけの力ではない、実際に存在する力としての遠心力(離心力)が働いているものと考えねばならない。

 そしてさらに、これまで名だたる天才物理学者たちによって語られてきた、深遠で神秘的な様相をもつとされる微細構造定数αが、実はリング状電子と円環状拡張場それぞれの回転速度の比を表わすものであるとするならば、リング状電子対円環状拡張場の1/137なる比そのものが、基底状態における水素原子の定常にして安定した状態を実現するとともに、そこに存在して機能する円環状拡張場の、具体的かつ客観的実在性を保証しているものと考えられるのである。